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2016/7/21

美しく輝く自分でいよう。女性らしく、私らしく。~がんを経験し、美容を見つめ直した先にあったものとは~

7月21日、今年度4回目の「生と死を見つめる集い」が開かれました。今回は美容ライフアドバイザーでエステティシャンのさとう桜子先生をお招きし、「美しく輝く自分でいよう。女性らしく、私らしく。~がんを経験し、美容を見つめ直した先にあったものとは~」というテーマでご講演いただきました。さとう先生は、築地本願寺の目の前に、がん患者向けビューティーサロン「CELENITE(セレナイト)」を構えていらっしゃいます。
さとう先生は、長年に亘り、メイクアップアーティストや化粧品メーカーの指導者など、美容のプロとしてご活躍されていました。そのようななかで、ご自身に癌が見つかります。それによって、苦しい闘病生活が始まりました。先生は癌を経験したことで、美容に対して改めて多くのことに気づかれたそうです。抗がん剤治療の副作用によって、髪の毛が抜ける、肌が荒れる、爪が黒くなるなど、さまざまな外見の変化に見舞われました。先生にとって、外見の変化は、身体的な痛み以上に苦痛だったそうです。しかし、苦しい闘病生活において、美容上の苦しみを解決してくれる場所はありませんでした。そのような経験から、病気に限らず、さまざまな困難を抱えたなかでも、女性として楽しく前向きに輝いて生きることができるように、がん患者向けの美容サロンを開設されました。



さとう先生は、ご自身が担う役割には大きく三つあるといいます。一つは「美容相談」で、美容のプロとして、外見の変化を解決する役割を担います。二つめは「心の表出」で、同じがん経験者として、不安や恐怖を共有し、患者さんが心のうちを表出できるよう努めておられます。三つめは「話し相手になること」で、赤の他人として、家族や近しい人ではないからこそ、患者さんは気兼ねなく話してくれるそうです。がん患者は、心配や迷惑をかけたくないという想いからどうしても家族には本音が言えません。しかし、心の中には大きな不安や行き場のない恐怖があり、それらを吐き出し共有できる場所が必要です。さとう先生は、美容相談だけでなく、そうした心のうちを聴き、共有する時間も大切にされています。

女性にとって、美容は生きる意欲につながります。しかし、癌の治療において、美容上の問題はどうしても後回しにされてしまいます。病院は美容ではなく、治療に専念します。また、美容業界も病気の人にスポットライトを当てることは少なく、美容とは健康で綺麗な人をさらに美しくするものだと考えられている向きがあるようです。先生はご自身の活動を通して、医療者や美容家にも、がん患者の美容に対する理解を深めたいとおっしゃっていました。

先生は癌によって自らの「死」を意識されました。しかし、死を恐れ、生きる意欲を失うのではなく、改めて「生」を見つめ直し、美しく輝いて生きておられます。そして、自分が輝いて生きるだけでなく、病気を抱えるすべての女性が輝いて生きることができるように、新しいことにチャレンジされています。先生の生き方を通して、身の周りのさまざまな困難にも負けず、楽しく前向きに輝いて生きていきたいと感じました。

 

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